ミラマール城(トリエステ)完全ガイド|白亜の離宮と海に抱かれた22ヘクタールの庭園

イタリア·
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アドリア海に突き出す白い城。ミラマール城(Castello di Miramare)は、ハプスブルク家のフェルディナンド・マキシミリアン大公(のちのメキシコ皇帝マクシミリアーノ1世)と妃シャルロットのために、1856〜1860年に建てられたロマンティックな海辺の離宮です。設計はカール・ユンカー。館内の調度は19世紀当時のまま保存され、庭園は大公自ら構想した広大な英式景観庭園+フランス式パルテールという贅沢な組み合わせ。現在はイタリア文化省の国立博物館として公開されています。

※ 筆者は2023年にミラマール城を訪れました


要点まとめ

  • 場所:イタリア北東部トリエステ市中心部から北西へ約8km。住所:Viale Miramare, 34151 Trieste。
  • 開館時間城は毎日 9:00–19:00(最終入場18:30目安)。公園は年中8:00開園・季節ごとに閉園時刻が変動
  • 料金:企画展の有無で変動(基本チケットは公式サイト/CoopCultureで最新を確認)。毎月第1日曜は入場無料の「Domenica al Museo」対象。
  • 所要時間:城の見学1〜1.5時間+庭園散策1〜2時間が目安(合計2.5〜3.5時間)。
  • 行き方(公共交通):市バス6番または36番Bivio di MiramareまたはGrignano 終点下車し徒歩。夏は連絡船(Delfino Verde)でグリニャーノ湾へアクセス可。鉄道はMiramare駅から公園入口まで徒歩約150m→園路約0.5km。
  • 公園入園無料

見どころ(ハイライト)

1)海に突き出す白亜の城と桟橋

イストリア石の白い外壁が海に映える外観は、どの角度から見ても絵になります。城下の小港の突端にはプトレマイオス朝時代の花崗岩スフィンクスが鎮座。海と歴史のコントラストが独特の雰囲気を醸します。

2)1階:艦船ノヴァーラ号を模した私室

大公の書斎は、彼が海軍総司令官として乗艦したフリゲート「ノヴァーラ」号の艦室を再現。青地の壁紙や王冠付き錨のモチーフなど、海軍ゆかりの意匠が随所に見られます。図書室や妃シャルロットの淡いブルーの部屋も必見。

3)2階:謁見の間と東洋趣味の客間

来客用の華やかな謁見の間(玉座の間)、そして中国風・日本風の客間には、当時の「東洋趣味(オリエンタリズム)」のコレクションが並びます。画家チェーザレ・デッラックアによる、マキシミリアンの生涯や城の歴史を描いた連作もここで鑑賞できます。

4)カステレット(小城)・温室・厩舎

本館の縮小版ファサードを持つカステレット、植物育成のための温室、そして1856〜60年に計画された厩舎(Scuderie)など、庭園内の付属施設も見どころ。厩舎の一翼は、現在海洋生物多様性センター「BioMa」(ミラマーレ海洋保護区の没入型ミュージアム)として公開されています。

5)22ヘクタールの庭園:英式景観×仏式パルテール

元は石灰岩質の荒地でしたが、大公の構想で英式風景式庭園と、城前の幾何学的パルテールが組み合わされた庭園に。レバノン杉やセコイア、イチョウなど外来樹種が実験的に導入されました。季節の花壇と海景のコントラストが見事です。


知っておくと便利な基本情報

開館・開園

  • 城(博物館):毎日9:00–19:00(最終入場は閉館30分前目安)。
  • 公園年中無料、8:00開園。閉園時刻は月別(例:4–9月は19:00、冬季は16:00など)。

チケット

  • 料金は常設+企画展の有無で変動します。公式のチケットページ/CoopCultureで最新の価格と購入方法を確認してください。
  • 毎月第1日曜は無料(Domenica al Museo)。混雑するため早めの来場がおすすめ。

アクセス(公共交通・車・船)

  • 市バス6番/36番Bivio di Miramare下車→公園入口まで徒歩約750m、あるいはGrignano 終点から公園入口まで約200m+城まで約350m。
  • 鉄道Miramare駅下車、Via Beirutを150mで公園入口→園路を約0.5kmで城へ。
  • 夏季の船便Delfino Verdeのモーターボートがトリエステ中心部やバルコラ等からグリニャーノ湾へ運航(夏期限定)。
  • :城手前の有料駐車場利用(キャンピングカー等は不可)。※2025年9月時点で一部区画が安全対策のため一時閉鎖の告知あり。最新情報は公式のニュース欄をご確認ください。

バリアフリー/館内設備

  • 館内はエレベーター等のアクセシビリティ対応あり。園内は起伏が多いので歩きやすい靴で。

さくっと回るモデルコース(所要2.5〜3.5時間)

  1. 海沿いの遊歩道〜桟橋で城の外観を撮影(15分)
  2. 1階の私室エリア(ノヴァーラ号の部屋、図書室、シャルロットの部屋)(30–45分)
  3. 2階の謁見の間+東洋の客間+デッラックアの連作(30–40分)
  4. 庭園散策(パルテール→海見えの高台テラス→温室前)(45–60分)
  5. 時間があれば**BioMa(旧厩舎棟)**で海の生物多様性展示(30–40分)。

写真スポット

  • 城前テラス&桟橋:海越しの正面外観が狙えます。
  • 上段のパルテール縁:幾何学庭園と白亜の城を俯瞰。
  • 海沿い遊歩道(夕景):アドリア海に沈む黄金色の光が外壁に映えてドラマチック。
  • カステレット周辺:緑と小城、温室が一枚に収まる構図。

歴史をざっくり年表で

  • 1856–1860:カール・ユンカー設計で築城。大公は細部まで監督。
  • 1864–1867:マキシミリアンはメキシコ皇帝に。1867年に処刑、妃はベルギーへ。
  • 1929:内部復元ののち一般公開開始。
  • 1930–37:サヴォイア家アメデオ公が居住。
  • 第二次大戦後〜1954:連合軍司令部として使用。1955年に公園が再オープン、のち歴史博物館として今日に至る。

近隣の立ち寄りスポット

  • ミラマーレ海洋保護区:城の岬一帯がイタリア初の海洋自然保護区。BioMaでは湾の生物多様性を学べます。
  • バルコラの海辺散歩デュイーノ城、市内中心のピアッツァ・ウニタ・ディターリアなどと組み合わせると一日コースに。

訪問のコツ

  • 風対策:トリエステ名物の強風「ボーラ」シーズンは体感が下がるので、防風ジャケットが安心。
  • 混雑回避:朝いち/夕方は比較的ゆったり。第1日曜無料日は特に混むので要注意。
  • チケット&最新情報:展覧会により料金や導線が変わることがあります。公式サイトの「Visit/Tickets」やニュース欄を出発前に確認。
  • 駐車場:現在一部区画が一時閉鎖告知あり(復旧状況は要確認)。

よくある質問(FAQ)

Q. 公園だけ見てもいい? A. もちろんOK。公園は無料で、季節ごとに花壇や眺望が変わります。時間が限られるときは庭園+外観だけでも満足度高め。

Q. 子連れ・ベビーカーで入れる? A. 園内はアップダウンがあり、砂利道や階段もあります。館内はエレベーター等のアクセシビリティ配慮あり。

Q. チケットはどこで買う? A. 公式サイトの「Tickets」からオンライン販売ページ(CoopCulture)にリンク。企画展とセットになる場合があります。


まとめ

ミラマール城は、海・建築・庭園が一体となったトリエステ屈指の名所。19世紀の内装がそのまま残る城内、英式×仏式の個性派ガーデン、そして海洋保護区BioMaまで、半日〜一日かけてじっくり楽しめます。観光のピークや天候、企画展で状況が変わるため、最新の開館情報・交通・料金は必ず公式でチェックしてから訪れてください。

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