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キンバリー(Kimberley)|オーストラリア北西部の秘境高原地帯

オーストラリア·

**キンバリー(Kimberley)**は、オーストラリア西部州(Western Australia)の最北部に広がる広大な高原地帯で、総面積は約42万平方km(162,000平方マイル)におよびます。北はインド洋の荒々しい海岸線に接し、南はフィッツロイ川(Fitzroy River)、東はオード川(Ord River)まで広がるこの地域は、険しい渓谷、赤い砂岩台地、ダイナミックな滝など、原始的な自然景観で知られています。


地理と自然

  • 地形:主に砂岩から成る「キンバリーブロック(Kimberley Block)」で構成され、所々に玄武岩の台地も存在
  • 代表的な峡谷:ゲイキー渓谷(Geikie Gorge)、ウィンダジャ渓谷(Windjana Gorge)など
  • 気候:北部は熱帯性気候で雨量が多い一方、南部は年間平均380mmほどの降雨量しかなく乾燥気候
  • 生態系:オーストラリア固有の動植物が豊富で、世界的に珍しい自然環境が広がる

歴史的背景

  • 名称の由来:19世紀のイギリス植民地相、ジョン・ウッドハウス(初代キンバリー伯爵)にちなむ
  • 探検と入植:1879年、アレクサンダー・フォレスト率いる探検隊が牧畜に適した土地であると報告 → その後ヨーロッパ人が入植
  • ゴールドラッシュ:1881年頃に金が発見され短期的なブームとなったが、最終的には牧畜が主要産業として定着
  • 先住民との衝突:ヨーロッパ人入植以降、アボリジナルの人々との間で土地をめぐる深刻な衝突が発生

産業と経済

  • 牧畜業:北部・西部を中心に大規模な牛の放牧が行われ、肉はウィンダム(Wyndham)やダービー(Derby)で加工
  • 農業開発:オード川・フィッツロイ川流域では大規模灌漑事業により、サトウキビや米など亜熱帯作物の栽培が可能に
  • クナナラ(Kununurra):1960年代にオード川開発の拠点都市として建設され、現在は地域のサービスセンター
  • 鉱業:ダイヤモンド鉱床(特にアーガイル鉱山 Argyle Mine)や石油の痕跡が確認されており、資源開発の拠点でもある

先住民文化と社会

  • アボリジナル・コミュニティ:100以上の先住民集落が点在し、伝統文化と現代生活が共存
  • 岩絵文化:世界最古級とされる岩絵「ブラッドシャウ・ロックアート(Gwion Gwion)」など、考古学的価値も高い
  • 統計地域:キンバリー統計区には、ブルーム(Broome)、ホールズ・クリーク(Halls Creek)、ダービー=西キンバリー(Derby–West Kimberley)、ウィンダム=東キンバリー(Wyndham–East Kimberley)の4つのシャイア(地方自治体)が含まれる

現在の人口と地域社会

  • 人口:2006年約29,000人 → 2011年には約35,000人に増加
  • 中心都市:ブルーム(観光の拠点)、クナナラ(農業開発の拠点)、ダービーやウィンダム(牧畜・加工業の中心)

まとめ

キンバリーは、オーストラリアでもっとも人跡未踏に近い自然環境と、先住民文化・牧畜・資源開発が混ざり合う特異な地域です。赤い砂岩台地や壮大な峡谷は観光資源として注目される一方、牧畜や鉱業、農業開発が進められ、今なお人間と自然との関わりが続いています。

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