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リガのキャットハウス ― 逆さまの猫が見つめるラトビアの伝説的建物

ラトビア·

バルト三国ラトビアの首都リガは、「北のパリ」とも称される美しい旧市街を誇ります。その中でもひときわ観光客の目を引くのが、キャットハウス(Cat House, ラトビア語:Kaķu nams)。屋根の上に怒った猫の像がちょこんと立つ、ユニークで伝説に彩られた建物です。


建物の歴史と建築様式

キャットハウス

キャットハウスは 1909年、建築家フリードリヒ・シェッフェル(Friedrich Scheffel)の設計で建てられました。外観は中世風の装飾を持ちながらも、リガを代表する様式である アール・ヌーヴォー建築の要素も取り入れています。リガ旧市街の中心、メイスタル通り(Meistaru iela)10番地に位置し、ユネスコ世界遺産に登録された旧市街散策の途中で必ず目に入るスポットです。


屋根の猫と「怒りのしっぽ伝説」

キャットハウスを有名にしているのは、何といっても屋根に置かれた 2匹の猫の像。背中を丸め、尻尾をピンと立てた姿はどこか不機嫌そうに見えます。

この猫たちにはリガで語り継がれる有名な伝説があります。

バージョン1:ギルドへの恨み

当時の裕福な商人が、この建物を建てたものの、すぐ近くの「大ギルド(Great Guild)」から会員資格を拒否されました。腹を立てた商人は、猫の尻尾を大ギルドの建物に向けるように設置し、皮肉を込めたのです。

バージョン2:市庁舎への反発

別の説では、商人がリガ市議会と争いを起こし、市庁舎に対する嫌がらせとして猫を配置したと言われています。当時の市庁舎は大ギルドと同じ方向にありましたが、第二次世界大戦で焼失し、2000年代に再建されています。

いずれの説でも、「猫の尻尾=侮辱の象徴」 として用いられたという点が共通しています。結局、周囲からの圧力で猫の向きは変えられ、現在は大ギルドに正面を向けて立っています。


現代のキャットハウスの魅力

キャットハウス

  • フォトスポット:可愛らしい猫像は旧市街観光の人気撮影スポット。
  • アール・ヌーヴォー建築の街並み:リガはヨーロッパ有数のアール・ヌーヴォー建築都市で、キャットハウスもその象徴のひとつ。
  • 伝説とユーモア:地元のガイドツアーでは必ず紹介され、リガ市民のユーモラスな気質や歴史の一端を知ることができます。

まとめ

キャットハウスは、ただの可愛い建物ではなく、リガの歴史と人々の気質を物語る象徴的な存在です。怒った猫たちは、今も屋根の上から旧市街を見下ろし、訪れる人々にこの街の数百年にわたるユーモアと抵抗の歴史を伝えています。

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