カガヤン川とは?フィリピン・ルソン島最長の大河を解説

フィリピン·
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カガヤン川(Cagayan River) は、フィリピン・ルソン島で最も長い河川であり、全長約350キロメートル(220マイル)に及ぶ。 その源はルソン島北東部に広がるシエラ・マドレ山脈(Sierra Madre) の山地にあり、 蛇行を繰り返しながら北へと流れ、カガヤン渓谷(Cagayan Valley) を貫いて 最終的にルソン海峡のバブヤン海峡(Babuyan Channel) へと注ぐ。


地理と流域

カガヤン川は、流域面積・流量ともにルソン島最大を誇る。 その流れは南から北へと約350kmにわたり、肥沃な谷を形成している。 この地域は「フィリピンの穀倉地帯(the Rice Granary of the North)」とも呼ばれ、 特に米とタバコの栽培が盛んである。

川の中流から下流にかけては、イサベラ州(Isabela)カガヤン州(Cagayan Province) の重要都市が点在する。 代表的な河畔都市には、

  • イラガン(Ilagan)
  • トゥゲガラオ(Tuguegarao)
  • アパリ(Aparri)

などがあり、これらはいずれも商業・交通の拠点として発展してきた。

特にアパリでは、カガヤン川が海に注ぎ込む地点として知られ、 ルソン海峡(Luzon Strait)バブヤン海峡(Babuyan Channel) を結ぶ重要な河口港を形成している。


支流と自然環境

カガヤン川にはいくつかの主要な支流があり、

  • チコ川(Chico River)
  • マガット川(Magat River)
  • イラガン川(Ilagan River) が特に重要である。

これらの支流が山岳地帯の雨を集め、カガヤン川本流に合流することで、 流域一帯に豊富な水を供給している。 また、マガット川にはマガットダム(Magat Dam)が建設されており、 ルソン島北部の主要な水力発電・灌漑プロジェクトとして地域経済を支えている。


農業と暮らし

カガヤン川流域は、肥沃な沖積平野と安定した水源に恵まれているため、 フィリピンの主要な稲作・タバコ栽培地帯として発展してきた。 季節風とモンスーンがもたらす降雨量が豊富で、 水田が川沿いに広がる風景はルソン北部を象徴する光景のひとつである。

また、河川交通も重要で、かつては舟による物流が生活の中心だった。 現在でも、一部の地域では川が物資輸送や観光クルーズに利用されている。


自然と生態系

カガヤン川流域には、淡水魚・鳥類・湿地植物など多様な生態系が存在する。 一方で、近年は森林伐採や洪水、土砂流出が問題となっており、 流域の環境保全が国家レベルの課題として注目されている。 特に上流部のシエラ・マドレ山脈の森林保全は、 洪水防止や生態系維持のために極めて重要とされている。


まとめ

項目内容
名称カガヤン川(Cagayan River)
所在地フィリピン・ルソン島北部
全長約350km(220マイル)
源流シエラ・マドレ山脈
河口アパリ(Aparri)、バブヤン海峡
主な支流チコ川、マガット川、イラガン川
主な都市イラガン、トゥゲガラオ、アパリ
主な産業稲作、タバコ栽培、水力発電
特徴フィリピン最長の川・ルソン北部の生命線

カガヤン川は、単なる水路ではなく、 ルソン北部の自然・文化・経済を支える大動脈である。 その流れは、山岳地帯の恵みを運び、何世紀にもわたって人々の暮らしと文明を育んできた。

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