答えは―― 太平洋のほうが大西洋よりもはるかに深い。
これは平均の深さでも、最深部の深さでも同じである。
太平洋(Pacific Ocean)の平均水深はおよそ4,280メートル(14,040フィート)。
そして、世界の海で最も深い場所として知られる **マリアナ海溝のチャレンジャー海淵(Challenger Deep)**が存在する。
その深さは 海面下約10,994メートル(36,070フィート) にも達し、 エベレスト山(8,848メートル)をそのまま沈めても、なお2,000メートル以上の水が上に残るほどだ。
一方で、大西洋(Atlantic Ocean)ももちろん壮大な海であるが、 太平洋に比べるとやや浅く、平均水深は約3,646メートル(11,962フィート) 。 最も深い場所は プエルトリコ海溝(Puerto Rico Trench) の中にある ミルウォーキー海淵(Milwaukee Depth) で、 その深さは 約8,380メートル(27,493フィート) である。
なぜ太平洋のほうが深いのか?
その理由は、地球のプレート構造と火山活動の違いにある。 太平洋の周囲には「環太平洋火山帯(Ring of Fire)」と呼ばれる活発な地殻変動地帯が存在する。 この地域では、太平洋プレートが他のプレートの下に沈み込む「海溝(trench)」が多数形成されており、 その沈み込み運動が深海の谷を生み出している。 マリアナ海溝、トンガ海溝、フィリピン海溝などはその代表例だ。
一方の大西洋は、中央に「大西洋中央海嶺(Mid-Atlantic Ridge)」という海底山脈が走っており、 ここではプレートが分裂して新しい地殻が生まれている。 つまり、大西洋は「地殻が盛り上がる構造」が中心であるのに対し、 太平洋は「地殻が沈み込む構造」が支配的である。 この違いが、両者の平均水深に大きな差を生んでいるのだ。
海の深さが意味するもの
太平洋の広さは地球全体の海洋面積の約3分の1を占め、 その深さとともに、膨大な量の水とエネルギーを蓄えている。 海洋の深層部では、高圧・低温の環境が保たれており、 近年の深海探査では、光の届かない闇の中にも多様な生物が生息していることが明らかになっている。 マリアナ海溝では、耐圧性を極限まで高めた微生物や、透明な体をもつ魚類など、 地球上でも最も過酷な環境に適応した生命の姿が観測されている。
まとめると、
- 太平洋:平均約4,280m、最深約10,994m(チャレンジャー海淵)
- 大西洋:平均約3,646m、最深約8,380m(ミルウォーキー海淵)
太平洋は単に広大なだけでなく、地球でもっとも深く、ダイナミックな変動を続ける海 なのだ。


