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ポルトガルで試すべき29の伝統的なポルトガル料理

ポルトガル·

ポルトガルと聞くと、美しい海岸線や歴史ある街並みを思い浮かべる方も多いでしょう。しかし、この国のもうひとつの魅力は「食文化」にあります。魚介をふんだんに使った料理、シンプルでありながら奥深い味わいの肉料理、体を温めてくれるスープ、そして世界的に有名なスイーツまで、バラエティに富んだ食の宝庫です。

ポルトガル料理の背景には、大航海時代に培われた独自の歴史があります。アジアからは香辛料やお茶、アフリカからはコーヒーやピーナッツ、南米からはジャガイモやトウガラシといった食材が持ち帰られ、それらが融合することで現在の豊かな食文化が形づくられました。

これから紹介するのは、ポルトガルを訪れるならぜひ味わってほしい伝統料理の数々です。旅行の予定がある方はもちろん、食文化に興味がある方も「次に食べたい一皿」を見つけてみてください。

1. バカリャウ(Bacalhau / タラ)

バカリャウ

ポルトガル料理を語るうえで欠かせない存在が「バカリャウ」と呼ばれるタラです。単なる魚という枠を超えて、国民的食材といっても過言ではありません。大航海時代にポルトガル人がニューファンドランド沖でタラを発見したのが始まりで、長い航海に備えて塩漬けにして保存したことから広まりました。

現在でもバカリャウは非常に多彩な料理法で親しまれており、そのレパートリーは「365種類以上ある」とも言われるほどです。代表的な料理には、細かく裂いたタラにタマネギ、ポテト、卵を合わせた「バカリャウ・ア・ブラス(bacalhau à brás)」、前菜として人気の高い「ボリーニョス・デ・バカリャウ(bolinhos de bacalhau/タラのコロッケ)」、そしてシンプルに塩漬けしたものを焼いたり煮たりする伝統的な調理法があります。

その豊富なバリエーションから、旅行者にとっても必ず一度は味わってみたい料理のひとつです。ポルトガルを訪れるなら、ぜひこの国民的なタラ料理を体験してみる価値があります。

2. ビファーナ(Bifana / ポルトガル風ポークサンドイッチ)

ビファーナ

ビファーナは、ポルトガルで広く親しまれている伝統的なポークサンドイッチです。シンプルながらも食欲をそそる味わいで、地元の人々はもちろん旅行者にも人気の軽食となっています。

起源については定かではありませんが、アレンテージョ地方の小さな町が発祥とされる説が有力です。薄切りにした豚肉を白ワイン、ニンニク、パプリカなどでマリネし、柔らかく煮込んでから、ふわふわのパン(通常は「パパセコ」と呼ばれる丸いロールパン)に挟んで仕上げます。シンプルながら香り高く、ボリュームもあるため、昼食や軽めの夕食としても親しまれています。

ビファーナは屋台やカフェ、食堂から高級レストランまで幅広い場所で提供され、特に祭りやイベントでは手軽に食べられる定番メニューです。また、北部と南部で味付けに違いがあり、リスボン周辺ではガーリックや白ワインをベースにした比較的あっさりした味わい、ポルトではよりスパイシーで濃厚なバージョンが一般的とされています。

観光の合間に気軽に楽しめるソウルフードであり、ポルトガルを訪れた際にはぜひ一度試してみたい一品です。

3. アローシュ・デ・マリスコ(Arroz de Marisco / 海鮮ライス)

アローシュ・デ・マリスコ

アローシュ・デ・マリスコは、ポルトガルを代表する海鮮料理のひとつで、海の幸をふんだんに使ったリゾット風のごはんです。スペインの「パエリア」と混同されがちですが、両者には大きな違いがあります。

パエリアが比較的「乾いたごはん料理」であるのに対し、アローシュ・デ・マリスコはスープのように汁気が多く、濃厚な旨味が染み込んだお米を楽しめるのが特徴です。具材にはエビ、アサリ、ムール貝、カニ、イカなど、その土地で獲れる新鮮な魚介類がたっぷりと使われ、トマトやパプリカで彩りも鮮やかに仕上げられます。

家庭料理としても、レストランの看板メニューとしても広く親しまれており、特に海沿いの町や漁港では、その日に獲れた魚介を使った贅沢な一皿に出会うことができます。

旅行で訪れる際には、ポルトガルらしい「海の恵み」を一度に味わえる料理として、ぜひ試してみたい伝統料理のひとつです。

4. サルディーニャス・アサーダス(Sardinhas Assadas / イワシの炭火焼き)

ポルトガルの食文化を象徴する料理のひとつが、炭火で豪快に焼き上げたイワシ「サルディーニャス・アサーダス」です。新鮮なイワシに塩をふり、炭火で香ばしく焼くだけというシンプルな調理法ながら、その香りと味わいは格別。夏になるとリスボンやポルトの街角では、炭火の煙と香ばしい匂いが漂い、まさに季節の風物詩となっています。

食べ方は素朴で、焼き立てのイワシをそのままパンにのせたり、サラダやジャガイモと一緒に盛り付けたりするのが一般的。骨が多く食べづらさを感じるかもしれませんが、一口食べれば脂ののった旨味と香ばしさに驚かされるはずです。

また、イワシはポルトガルの祭りとも深く結びついており、6月にリスボンで開催される「聖アントニオ祭」では、通りにイワシの屋台が並び、誰もが気軽に楽しめる国民的な料理として親しまれています。

観光の際には、レストランだけでなく屋台や路地裏のグリル店などで、ポルトガルらしい庶民の味を体験してみるのがおすすめです。

5. コジード・ア・ポルトゲーザ(Cozido à Portuguesa / ポルトガル風肉と野菜の煮込み)

コジード・ア・ポルトゲーザは、ポルトガルの家庭料理を代表する伝統的な一皿で、「煮込み料理の王様」とも呼ばれる存在です。名前の通り、肉や野菜をじっくり煮込んだ料理で、国の歴史や地域の食文化を色濃く反映しています。

具材は非常にバラエティ豊かで、鶏肉、豚肉、スペアリブ、ベーコンなどの肉類に加え、チョリソやモルセーラ(血入りソーセージ)といったポルトガル独特のソーセージ類が加わります。さらに、カブやキャベツ、ジャガイモ、ニンジンなどの根菜類も一緒に煮込まれ、栄養バランスの取れた料理として親しまれています。

脂身の多い肉が使われるため見た目は豪快ですが、調理法はシンプルで、水やブイヨンで長時間煮込むことで、素材本来の旨味が引き出されるのが特徴です。レストランでも提供されていますが、特に家庭料理として食卓に並ぶことが多く、地方ごとに具材や味付けの違いが見られるのも魅力のひとつです。

観光で訪れる方にとっては、ポルトガルの食文化の素朴で力強い一面を知ることができる伝統料理といえるでしょう。

6. カルネ・デ・ポルコ・ア・ポルトゲーザ(Carne de Porco à Portuguesa / ポルトガル風豚肉料理)

カルネ・デ・ポルコ・ア・ポルトゲーザは、豚肉とポテトを組み合わせたボリューム満点の料理で、ポルトガルの食卓を代表する肉料理のひとつです。香ばしく揚げたポテトに、ニンニクや香辛料でマリネした豚肉を合わせ、シンプルながら食べ応えのある一皿に仕上げられます。

この料理の人気バリエーションとして広く知られているのが「カルネ・デ・ポルコ・ア・アレンテジャーナ(Carne de Porco à Alentejana)」です。これはアレンテージョ地方が起源とされ、特にアルガルヴェ地方で名物料理として定着しています。特徴は、豚肉とアサリを組み合わせた“海と山の幸の融合”にあり、白ワインをベースにしたソースで仕上げられることから、ポルトガル版「サーフ&ターフ」とも呼ばれています。

家庭料理としてもレストランの定番としても親しまれており、ポルトガルの素朴さと豊かな食文化を体現する代表的な肉料理のひとつといえるでしょう。

7. ビトッケ(Bitoque / ステーキ&エッグ)

ビトッケは、ポルトガルの日常的な定番料理で、手軽に楽しめる「ワンプレート・ステーキ」ともいえる一皿です。グリルまたはフライパンで焼いた牛肉(時には豚肉)に、目玉焼きをのせ、ライス、フライドポテト、そしてサラダを添えて提供されます。とろりとした黄身をステーキに絡めながら食べるのが特徴で、シンプルながら満足感のある組み合わせです。

ビトッケは全国の食堂やカフェで広く提供されており、値段も手頃なため、地元の人々にとっては日常的なランチやディナーの定番となっています。また、観光客にとっても食べやすく、味付けも比較的シンプルなので、初めてポルトガル料理に触れる方や子ども連れの旅行者にも人気です。

肉の種類や付け合わせは店によって少しずつ異なり、ソースが添えられる場合もあるなど、バリエーションも豊富。ポルトガルの庶民的な食文化を気軽に体験できる代表的な料理のひとつです。

8. ポルコ・プレート(Porco Preto / イベリコ黒豚)

ポルコ・プレートは、ポルトガル南部アレンテージョ地方を代表する食材で、「イベリア半島の黒豚」として知られる特別な品種です。スペインでも同じイベリコ豚が高級食材として扱われていますが、ポルトガルでも同様に非常に価値の高い肉として珍重されています。

この黒豚の魅力は、その独特の風味と柔らかさにあります。特にドングリを食べて育つことから、脂に甘みとコクが生まれ、深い味わいを持つとされています。そのため、シンプルな調理法でも素材の良さが際立ち、食通をうならせる逸品となっています。

提供されるスタイルはさまざまで、ハムやサラミなどのシャルキュトリー、ステーキ、グリル、そしてアレンテージョ地方の名物料理「カルネ・デ・ポルコ・ア・アレンテジャーナ(豚とアサリの煮込み)」などにも使われます。

ポルコ・プレートはポルトガルならではの高級食材であり、ワインと合わせて味わえば、この国の食文化の豊かさを実感できるはずです。

9. カルド・ヴェルデ(Caldo Verde / 緑のスープ)

カルド・ヴェルデは、ポルトガル北部のミーニョ地方に起源を持つ伝統的なスープで、今では全国的に親しまれている代表的な家庭料理です。直訳すると「緑のスープ」を意味し、その名の通り細かく刻んだ青菜(一般的にはケールやコラードグリーン)が鮮やかな緑色を生み出します。

具材はシンプルで、ジャガイモをベースにしたなめらかなスープに、オリーブオイル、チョリソ(燻製ソーセージ)、そして青菜を加えて仕上げられます。素朴ながら滋味深い味わいが特徴で、冷涼な北部地域では特に好まれてきました。

カルド・ヴェルデは日常的な食卓だけでなく、祭りや家族の集まりなど特別な場でも提供されることが多く、ポルトガル人にとって「心を温めるスープ」として象徴的な存在となっています。パンやワインと一緒に味わえば、シンプルながら奥深いポルトガルの食文化を堪能できるでしょう。

10. ポルヴォ・ア・ラガレイロ(Polvo à Lagareiro / タコのオリーブオイル焼き)

ポルヴォ・ア・ラガレイロは、ポルトガルを代表するタコ料理のひとつで、オリーブオイルをたっぷりと使って仕上げられる伝統的な一皿です。柔らかく調理されたタコに、こんがりと焼き上げたベビーポテト(ジャガイモ)とサラダを添え、仕上げに香り高いオリーブオイルを回しかけて提供されます。

最大の特徴は、そのタコの食感。じっくりと下ごしらえされることで、ナイフをほとんど使わずとも切れるほど柔らかく、噛むごとにオリーブオイルとタコ本来の旨味が広がります。シンプルな調理法でありながら、素材の良さを引き立てるポルトガルらしい料理といえるでしょう。

全国的に親しまれており、特に海沿いの町やリスボンのアルファマ地区などで味わえる人気メニューです。ワインと合わせてゆっくり楽しめば、ポルトガルの豊かな海の恵みを存分に堪能できる一皿となります。

11. ケイジョ・デ・アゼイタオン(Queijo de Azeitão / アゼイタオンチーズ)

ケイジョ・デ・アゼイタオンは、ポルトガル南部の町アゼイタオン発祥のセミソフトタイプのチーズで、羊の生乳から作られるのが特徴です。見た目は小ぶりな円形で、熟成させることで中身はとろりと柔らかく、濃厚な風味を持つチーズへと仕上がります。

食べ方としては、上部を切り取って中のクリーミーな部分をパンやクラッカーに塗って味わうのが一般的。温めることでさらに滑らかになり、リッチで芳醇な味わいが広がります。チーズ好きにとっては忘れられない逸品といえるでしょう。

また、同じくポルトガルを代表するチーズとして「ケイジョ・ダ・セーラ・ダ・エストレラ(Queijo da Serra da Estrela)」も有名です。これは中央部の山岳地帯セーラ・ダ・エストレラで作られる羊乳チーズで、濃厚かつ複雑な風味があり、こちらもぜひ試したい伝統的な味わいです。

チーズ文化はワインと並んでポルトガルの食卓に欠かせない存在であり、地域ごとの特産品を味わうのも旅の楽しみのひとつです。

12. アメイジョアス・ア・ブルリャン・パト(Ameijoas à Bulhão Pato / アサリの白ワイン蒸し)

アメイジョアス・ア・ブルリャン・パトは、リスボン発祥の伝統的なシーフード料理で、新鮮なアサリを使った一皿です。白ワイン(特に微発泡で爽やかな「ヴィーニョ・ヴェルデ」)をベースに、オリーブオイル、ニンニク、パクチー(コリアンダー)で香りづけし、素材の持つ旨味を存分に引き出しています。

この料理名は、19世紀の詩人ライムンド・アントニオ・デ・ブルリャン・パトに由来しています。彼が特に愛したことからその名が付けられたと言われ、文学と食文化が結びついたユニークな背景を持つ料理でもあります。

提供時には、旨味が凝縮されたスープとともに出され、パンを浸して楽しむのが定番の食べ方。シンプルながらも新鮮な魚介とポルトガルならではの調味が融合し、この国の食文化のエッセンスを象徴する一品です。

13. パステル・デ・ナタ(Pastel de Nata / エッグタルト)

ポルトガルを代表するスイーツといえば、世界的に有名な「パステル・デ・ナタ」です。サクサクとしたパイ生地の中に、卵黄・砂糖・牛乳をベースにした濃厚なカスタードクリームを流し込み、表面をこんがりとキャラメリゼして焼き上げた小さなタルトは、一口食べれば誰もが虜になる逸品です。

仕上げにシナモンや粉砂糖をふりかけて楽しむのが一般的で、シンプルながら豊かな香りと甘さが加わり、より一層魅力的な味わいになります。もともとはリスボンの修道院で生まれたとされ、今では全国各地のカフェやベーカリーで提供されている国民的スイーツとなっています。

特に有名なのは、リスボンの「パステイス・デ・ベレン(Pastéis de Belém)」と「マンタイガリア(Manteigaria)」。どちらも観光客に人気のスポットであり、食べ比べを楽しむ人も多いです。

ポルトガルを訪れるなら絶対に外せない伝統菓子であり、コーヒーと一緒に味わうのが定番のスタイルです。

14. プレゴ(Prego / ガーリックステーキサンド)

プレゴは、ポルトガルで人気のサンドイッチ料理のひとつで、ガーリックをたっぷり効かせた牛肉をパンに挟んだボリューム満点の一品です。柔らかく焼き上げたビーフステーキを、外はカリッと中はふんわりとしたパンに挟み、ニンニクの風味をしっかりときかせるのが特徴です。

バリエーションとして、マスタードや半熟の目玉焼きをトッピングすることもあり、シンプルながら味わい深い組み合わせが楽しめます。ガーリックの存在感が非常に強いため、パンをかじった瞬間に香ばしい風味が口いっぱいに広がるのが魅力です。

もともとは家庭的で手軽な軽食として親しまれてきましたが、現在ではカフェや食堂などで定番メニューとして提供され、観光客にも人気があります。ニンニク好きにはたまらない、ポルトガルらしいパン料理のひとつといえるでしょう。

15. フランゴ・ピリピリ(Frango Piri-Piri / ピリ辛グリルチキン)

フランゴ・ピリピリは、ポルトガル全土で愛されている定番料理のひとつで、鶏肉を香ばしく焼き上げたシンプルながら奥深い味わいのグリルチキンです。下味にはオリーブオイル、ニンニク、レモン、白ワイン、そしてスパイスを用い、じっくりマリネしてから炭火で焼くことで、外はパリッと香ばしく、中はジューシーで柔らかい仕上がりになります。

この料理をより特徴づけているのが「ピリピリソース」です。唐辛子をベースにした辛味のあるソースで、好みに応じて加えることで、爽やかな酸味とスパイシーさがプラスされ、食欲をさらにかき立てます。付け合わせとしてフライドポテトやサラダが盛り付けられることが多く、ボリュームも十分。

もともとはアフリカの植民地から持ち帰られた唐辛子が起源とされ、ポルトガル独自の食文化に組み込まれた背景があります。シンプルながら異文化の影響を受けた代表的な料理であり、旅行者にとっても食べやすく満足度の高い一皿です。

16. ジンジーニャ(Ginjinha / サクランボのリキュール)

ジンジーニャ(または略してジンジャ)は、ポルトガルを代表する伝統的なリキュールで、サクランボの一種「ジンジャ(酸味のあるサワーチェリー)」を使って作られます。19世紀にリスボンで誕生したとされ、今も市民や観光客に広く親しまれています。

作り方は、サワーチェリーをポルトガル産の蒸留酒「アグアルデンテ」に漬け込み、砂糖、水、シナモンを加えて熟成させるというもの。果実の酸味とシナモンの香りが合わさり、芳醇で甘みのある味わいに仕上がります。アルコール度数は比較的控えめで飲みやすく、食前酒や食後酒として楽しまれることが一般的です。

リスボンには、1840年創業の老舗バー「A Ginjinha」をはじめ、歴史ある専門店が点在しており、立ち飲みスタイルで気軽に味わえるのも魅力です。ショットグラスにチェリーを沈めて提供されることが多く、小さな一杯からポルトガルの歴史と文化を感じられる一品といえるでしょう。

17. アレイラ・デ・ミランデラ(Alheira de Mirandela / ポルトガル風ソーセージ)

アレイラ・デ・ミランデラは、ポルトガル北部の町ミランデラ発祥の伝統的なソーセージで、ユニークな歴史を持つ食文化の象徴です。16世紀、ユダヤ人が宗教的迫害から身を守るため、見た目は豚肉のソーセージに似せながらも、実際には豚肉を使わずに作られたことが始まりとされています。

このソーセージは、パン粉をベースに、鶏肉や七面鳥などの燻製肉、ニンニク、オリーブオイル、香辛料を練り込んで作られます。見た目は一般的な腸詰ですが、独特の食感と香ばしい風味が特徴で、他のソーセージとは一線を画します。

一般的な提供スタイルは、フライドポテトやサラダ、目玉焼きを添えてワンプレートで供される形。家庭料理としても、レストランの郷土料理としても人気が高く、観光客にとっては歴史と伝統を同時に味わえる一皿です。

アレイラは現在では全国的に知られる存在となっていますが、ミランデラ産のものは特に評価が高く、ポルトガルを代表する特産品として守られています。

18. カタプラーナ・デ・マリスコス(Cataplana de Mariscos / シーフードシチュー)

カタプラーナ・デ・マリスコスは、ポルトガル南部アルガルヴェ地方発祥の代表的な魚介料理で、その名は調理に使われる特殊な鍋「カタプラーナ」に由来します。二枚貝のような形をした銅製の鍋で、具材を密閉して蒸し煮にするため、魚介と野菜の旨味が凝縮され、香り高く仕上がるのが特徴です。

主な具材は、アサリやムール貝、エビ、白身魚などの新鮮な魚介類に、タマネギ、ニンニク、パプリカを加え、白ワインで風味を整えます。スープは魚介の旨味と野菜の甘みが溶け合い、濃厚でありながらも爽やかな味わいに仕上がります。

この料理は、ポルトガルの豊かな海の恵みと独自の調理法を象徴する一皿で、観光客にとっても「ぜひ本場で味わいたい料理」のひとつ。アルガルヴェ地方を訪れるなら、ぜひカタプラーナ鍋を囲んで地元の海の幸を堪能してみる価値があります。

19. ヴィーニョ・ヴェルデ(Vinho Verde / 緑のワイン)

ヴィーニョ・ヴェルデは、ポルトガル北西部ミーニョ地方で生産される、爽やかで軽やかな味わいのワインです。直訳すると「緑のワイン」ですが、色が緑という意味ではなく「若いワイン」を指し、フレッシュな飲み口が特徴です。

スタイルは白が中心ですが、赤やロゼも存在します。アルコール度数は低めで、ほんのり微発泡していることも多く、柑橘系の爽やかな酸味と軽快な口当たりが暑い季節にぴったり。ポルトガル国内では日常的に楽しまれており、国際的にも人気が高まっています。

その歴史はローマ時代までさかのぼり、肥沃な土地と伝統的な栽培技術によって独自のワイン文化が育まれてきました。現在では、地元料理との相性の良さから「カジュアルに楽しめるワイン」として定着しており、特に魚介料理や軽食と合わせて味わうのがおすすめです。

ヴィーニョ・ヴェルデは、ポルトガルのワイン文化を象徴する存在であり、旅行者にとっても気軽に楽しめる一杯。現地を訪れた際には、ぜひ本場で味わってみたい伝統的なワインです。

20. フランセジーニャ(Francesinha / ポルト風サンドイッチ)

フランセジーニャは、ポルト発祥の名物料理で、今やポルトガルを代表するボリューム満点のサンドイッチです。そのルーツは1960年代、フランスの「クロックムッシュ」をヒントに誕生したとされ、ポルトならではの大胆なアレンジが加えられています。

パンの間にはハム、ソーセージ、ステーキやローストミートなど数種類の肉がぎっしりと挟まれ、その上からチーズをたっぷりかけてオーブンで溶かします。さらに仕上げとして、ビールをベースにした濃厚なソース(時にピリ辛)がたっぷりとかけられるのが特徴です。付け合わせのフライドポテトと一緒に食べれば、まさに「がっつり系」の満足感が味わえます。

単なるサンドイッチにとどまらず、ポルトの食文化を象徴する一皿として観光客にも大人気。食べ応え抜群のフランセジーニャは、現地でぜひ試してみたいポルトガル料理のひとつです。

21. ルピニ豆(Lupini Beans / 塩漬け豆のスナック)

ルピニ豆(ポルトガル語では「トレモソス」)は、ポルトガルのバル文化に欠かせない定番スナックのひとつです。小ぶりで黄色い豆を塩水に漬け込み、ほんのりとした苦味と塩味を持つのが特徴。カリッとした食感とあっさりとした風味で、ビールやワインの「おつまみ」として親しまれています。

特に、爽やかな微発泡ワイン「ヴィーニョ・ヴェルデ」との相性が抜群で、ポルトやリスボンのバルや居酒屋では定番の組み合わせ。価格も手頃で、オリーブと一緒に小皿で提供されることが多く、気軽に楽しめる庶民的な味です。

ルピニ豆は栄養価も高く、たんぱく質や食物繊維を豊富に含むヘルシーな食品としても注目されています。ポルトガルを訪れる際には、夕暮れ時の一杯とともにこのシンプルなおつまみを味わえば、現地の生活に溶け込むような気分を体験できるでしょう。

22. カショリーニョス(Cachorrinhos / ポルトガル風ホットドッグ)

カショリーニョスは、ポルトを中心に親しまれている軽食で、いわば「ポルトガル風ホットドッグ」と呼べる一品です。名前の「cachorrinho」はポルトガル語で「子犬」を意味しますが、料理名としてはソーセージを使ったサンドイッチを指します。

細長いパンの中にソーセージを挟み、チーズとピリ辛のソースを加えて焼き上げ、食べやすいひと口サイズにカットして提供されるのが一般的です。外側のパンは香ばしくカリッと仕上がり、中からはとろけたチーズとソーセージの旨味があふれ、ビールやワインのお供としても人気があります。

特にポルトの老舗バーやスナック店では定番メニューであり、夜の街歩きや飲みの締めに欠かせないソウルフード的存在です。シンプルながらクセになる味わいで、旅行者にとっても気軽に楽しめるポルトガルらしい一皿といえるでしょう。

23. ショリッソ・ア・ボンベイロ(Chouriço à Bombeiro / 炎のチョリソー)

ショリッソ・ア・ボンベイロは、ポルトガルならではの豪快で視覚的にも楽しめる伝統料理のひとつです。名前の通り、テーブルで直接チョリソー(ポルトガル風ソーセージ)に火をつけて提供されるスタイルが特徴で、「炎のチョリソー」として観光客にも人気があります。

通常は、楕円形の陶器製グリルにソーセージをのせ、高アルコール度数の酒を注いで火をつけることで、香ばしく表面が焼き上がります。こうして生まれるスモーキーな風味が、肉の旨味とスパイスを引き立て、見た目だけでなく味わいも格別です。

この料理は家庭よりもレストランやバルで提供されることが多く、特に観光地や祭りの場で人気の演出付き料理として親しまれています。シンプルながらインパクト抜群で、食事そのものをエンターテインメントとして楽しませてくれるポルトガルらしい一品です。

24. ボーロ・ド・カコ(Bolo do Caco / マデイラ島の伝統パン)

ボーロ・ド・カコは、マデイラ島発祥の伝統的なパンで、外は香ばしく内はもちもちと柔らかい食感が特徴です。丸く平らな形をしており、ほんのり焦げ目のついたクラストと、しっとりした中身のコントラストが絶妙。一般的な小麦粉に加えてサツマイモ粉を使うため、自然な甘みと独特の風味が生まれます。

名前の「caco」は、パンを焼く際に用いられる平らな玄武岩の石板を指し、昔ながらの調理法ではこの石の上で直火にかけて焼き上げます。こうして焼かれることで、独特の香ばしさと風味が加わります。

もっともポピュラーな食べ方は、焼き立てをガーリックバターとともに楽しむスタイル。シンプルながらも食欲をそそる組み合わせで、マデイラを訪れる旅行者にとっては外せない名物です。また、チョリソーやベーコン、チーズを挟んだアレンジもあり、屋台やレストランで気軽に味わうことができます。

ボーロ・ド・カコは、マデイラ島の自然と食文化を象徴するパンであり、訪れた際には必ず試したい郷土料理のひとつです。

25. ポンシャ(Poncha / マデイラ島のラム酒カクテル)

ポンシャは、マデイラ島発祥の伝統的なアルコール飲料で、島の食文化を代表する一杯です。主な材料は「アグアルデンテ・デ・カナ(サトウキビから作られる蒸留酒)」に、はちみつ、砂糖、レモン果汁、さらにオレンジやパッションフルーツといった果汁を加えて作られます。甘みと酸味がバランスよく調和し、爽やかで飲みやすい味わいが特徴です。

作る際には「カラリーニョ」と呼ばれる木製の棒でしっかりと混ぜ合わせるのが伝統的な方法で、この動作によって素材がよく馴染み、独特の風味が生まれます。シンプルながら、飲むたびにフルーツの香りとラムのコクが広がるため、観光客はもちろん地元の人々にも広く親しまれています。

アルコール度数は比較的高めで、飲みやすさからつい量を重ねてしまうこともありますが、地元では食前酒として楽しむのが一般的。マデイラを訪れた際には、その土地ならではのフルーティーな一杯として、ぜひ体験してみたい伝統ドリンクです。

26. ラパ(Lapa / カサガイ)

ラパは、日本では「カサガイ」として知られる貝類で、ポルトガル、特にマデイラやアゾレス諸島などの大西洋沿岸で親しまれている伝統的な海の幸です。平たい殻を持つ姿は一見するとカタツムリのようにも見えますが、味わいは磯の香りと旨味が濃く、貝好きにはたまらない食材です。

調理法としては、バターとニンニクでシンプルにグリルし、仕上げにレモンを絞っていただくのが一般的。パンを添えて、貝殻に残ったバターソースを浸して食べるのも人気のスタイルです。磯の香りとガーリックバターの風味が合わさり、シンプルながら濃厚な味わいを楽しめます。

漁獲量が限られているため、レストランによっては品切れになっていることも珍しくありません。そのため、タイミングよく出会えたらぜひ注文したい、ポルトガルの海鮮料理のなかでも特別感のある一皿です。

27. トラヴェセイロ(Travesseiro / ピローパイ)

トラヴェセイロは、ポルトガルのシントラ発祥の伝統菓子で、その名はポルトガル語で「枕」を意味します。名前の通りふっくらとした形をしたパイ菓子で、外側はパリッと香ばしく焼き上げられ、中には濃厚な卵黄クリームとアーモンドペースト、砂糖を合わせたリッチなフィリングが詰まっています。

伝統的なレシピ以外にも、チョコレートスプレッド(ヌテラ)やフルーツフィリングを加えたアレンジが見られることもあり、観光客にも人気のスイーツです。

特に有名なのは、シントラの老舗菓子店「カーザ・ピリキータ(Casa Piriquita)」。1862年創業のこの店は、トラヴェセイロをシントラの名物菓子へと育て上げ、現在も多くの人々がこの味を求めて訪れています。

シントラ観光の際には、歴史ある街並みとともにこの「枕菓子」を味わうことが、旅の思い出をより一層豊かなものにしてくれるでしょう。

28. アローシュ・デ・パト(Arroz de Pato / 鴨の炊き込みごはん)

アローシュ・デ・パトは、ポルトガルの家庭料理を代表する一皿で、鴨肉とお米を一緒に調理した滋味深い炊き込みごはんです。ほろほろになるまで煮込まれた鴨肉と、その旨味をたっぷり吸ったごはんが合わさり、シンプルながら奥行きのある味わいを楽しめます。

仕上げには、香草やチョリソを加えて香りとコクをプラスし、表面をオーブンで軽く焼いて香ばしい層を作るのが一般的なスタイル。これにより、柔らかいごはんとパリッとした表面の食感が一度に味わえるのも魅力です。

ボリュームがありながらも上品な味わいで、家庭の食卓からレストランまで幅広く提供される人気料理。寒い季節には特に好まれ、ポルトガルの食文化の豊かさと多様性を感じさせる伝統料理のひとつです。

29. レイタォン・アサード(Leitão Assado / 子豚の丸焼き)

レイタォン・アサードは、ポルトガルを代表する肉料理のひとつで、特にバイラーダ地方(中部のワイン産地)で高い評価を受けています。柔らかく風味豊かな子豚を使用し、香辛料や脂をすり込み、串に刺してじっくりとオーブンで焼き上げるのが伝統的な調理法です。

焼き上がった肉は皮がパリッと香ばしく、中はしっとりとジューシー。オレンジスライスやサラダ、フライドポテトを添えて提供されることが多く、豪華なごちそうとして家族の集まりや祝い事でも楽しまれています。

発祥地であるバイラーダ地方の町メアルハダは「レイタォンの名所」として知られており、ワインとともに味わうのが定番の楽しみ方です。旅行で訪れるなら、本場のレストランでぜひ体験したい伝統料理のひとつといえるでしょう。

よくある質問

Q. ポルトガル料理の特徴は何ですか?
A. ポルトガル料理は「海と山の幸の融合」が特徴で、新鮮な魚介類や肉料理に加え、オリーブオイル、にんにく、香草を多用する点が挙げられます。大航海時代に世界各地からもたらされた香辛料や食材も活かされており、素朴ながらも奥深い味わいが楽しめます。
Q. 初めてポルトガルを訪れるなら、絶対に食べておきたい料理はどれですか?
A. 初心者におすすめなのは、国民食ともいえる「バカリャウ(タラ料理)」、リスボン名物の「パステル・デ・ナタ(カスタードタルト)」、そしてポルト名物の「フランセジーニャ(ボリューム満点サンドイッチ)」です。どれも地域色が強く、旅行中に味わうことでポルトガルの食文化を実感できます。
Q. ポルトガルの料理は日本人の口に合いますか?
A. はい。ポルトガル料理はシンプルな味付けが多く、素材の味を大切にしているため、日本人の口にも合いやすいと言われています。特に魚介類を使った料理やスープは親しみやすく、スイーツやパンも人気です。辛さは控えめですが、ピリピリソースなどで好みに応じて調整できます。
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