ドブロブニク旧市街には、美しい修道院や教会が数多くありますが、その中でもユニークな存在が フランシスコ会修道院(Franciscan Monastery)に併設された薬局。この薬局は 1317年創設と伝えられ、ヨーロッパでも最古級にあたる歴史を誇ります。現在も営業を続ける現役の薬局でありながら、併設の博物館では中世以来の薬壺や調合器具を見ることができ、歴史と生活が融合した貴重な観光スポットです。
薬局の歴史
- 1317年、修道院の僧侶たちが病気の兄弟を癒やすために薬を調合したのが始まり。
- 当初は修道士専用の「院内薬局」でしたが、やがて一般市民や城壁外の人々にも薬を提供する公共の薬局へと発展しました。
- 旧ラグーサ共和国時代には、2000以上の薬のレシピを保有していたと伝えられ、普通の薬から秘薬、さらには毒に至るまで、幅広い処方が存在したといわれています。
- 1667年の大地震で多くの記録や資料は焼失しましたが、修道士たちの活動は続き、修道院の地階や中庭など場所を移しながら薬局は存続しました。
- 第二次世界大戦後、1947年に国有化されましたが、その後も修道士の伝統を受け継ぎ、今日まで営業を続けています。
博物館としての見どころ
修道院の美しい回廊を抜けると、小さな博物館として公開されている薬局スペースに入れます。展示されているのは:
- 古い薬壺、木製や陶製の容器
- 調合に使われた石臼やグラインダー
- 薬草学や医学に関する貴重な書籍(15世紀以降)
- 中世の調剤器具やガラス製の薬瓶
歴史をそのまま感じられる空間で、「旧ラグーサの人々がどのように健康を守っていたか」を垣間見ることができます。
現役の薬局として
単なる博物館ではなく、ここは 現在も営業している薬局。特に人気なのが修道士たちのレシピを受け継いだスキンケア製品です。
- 野生のハーブを使ったクリームや軟膏
- 伝統製法に基づく化粧水やオイル
観光の記念やお土産に買い求める人が多く、「質が非常に高い」と評判です。
訪問情報
- 営業時間:毎日 9:00〜18:00
- 入場料:40クーナ(約5.4ユーロ)※修道院博物館+薬局見学込み
- 場所:旧市街のメインストリート「ストラドゥン」沿い、フランシスコ会修道院の中庭
- 所要時間:30分〜1時間程度。観光の合間に気軽に立ち寄れます。
まとめ
ドブロブニク旧市街を歩いていると、荘厳な城壁や教会に目を奪われがちですが、この小さな薬局は「人々の暮らし」に直結する貴重な遺産です。 700年以上続く薬局で修道士の知恵に触れ、ハーブの香り漂うスキンクリームをお土産に持ち帰れば、きっと忘れられない旅の思い出になるはずです。